この夏、フランス人に一番人気のバカンス先はどこでしょう?

パリ暮らし
静かなときは静かな地中海

Byドメストル美紀

暑中お見舞い申し上げます。
クイズのようなタイトルですが、「この夏、フランス人に一番人気のバカンス先はどこか?」皆さん、おわかりになりますか?
慎重に考えてくださいね。ヒントは地球温暖化、いや地球「沸騰化」です。

一番多い答はコートダジュールでしょうか。
フランス、そして夏といえば、 地中海の蒼い海ですものね。
サントロペ、ニース、そしてアンティーブ。隣国モナコの名もよく知られていて、映画の舞台になることも多くて。

でも正解ではありません。
今、フランス人に一番人気のバカンス先は、コートダジュールではなく、ブルターニュ地方なのです。

ブルターニュ地方とは

ブルターニュ地方がどの辺りかお分かりになりますか?

フランスの北西岸地方……と言われてもピンと来ないかな。
フランスは六角形に近いのでL’Hexagone(レキサゴン)と呼ばれることもありますが、この左上の角っこが少し突き出ている、この辺りがブルターニュとなります。

ケルト系民族が多く住む街として知られ、クレープやガレット、海の幸でも有名です。

ブルターニュは左上の、六角形から突き出ている付近、コートダジュールは右下の辺の付近です。

わたしがフランスに来た2000年初頭は、まだコートダジュールの方が人気高く
ニースの小石だらけの公共ビーチは日本の海水浴場同様、ビーチマットを敷く場所も見つけるのも難しい、という混み方でした。

一方のブルターニュは、さらさらの砂浜なのに5~10メートル半径は人がいなく、松林に囲まれた浜辺でのんびり寝転んで……、とそんなバカンスを過ごせる場所だったのです。

コートダジュールを最後に訪れたのは2010年だったかな。あの夏に、「もういいかな」となり。
理由は、客層がギラギラしてきたというか、わたしとは接点のなさそうなフランス人や外国の人(自分もそうなんですけどね)が多くて、冷めたというか。
それにコートダジュールはパリからは遠いのですよ。車だときついし、電車だと長いし、飛行機に乗るのも面倒で、足が遠のくようになりました。

一方のブルターニュには毎夏のように通っております。わたしの場合は義理両親の海の家があるから行かざるを得ない、という消極的な理由がゆえ、なのですが、この地味なビーチの人気が上昇しているらしい、と気づいたのはここ数年のこと。
「バカンスはどちらへ?」と尋ねると、
「ブルターニュよ!」
と応える人が増えてきたなぁ、と。

実際、海の家があるのは素朴な小さな村なのに、知った顔とばったり、ということがしょっちゅう。 また車の数が増えたこと! 見るとパリや近郊のナンバープレートばかりです。
ブルターニュもパリからは4~500キロとかなりの距離ですが、コートダジュールと比べれば約1/2。TGVも通っていますので行き来し易いのです。

もはやここ近年のブルターニュ人気は、ゲルマン民族ならぬ、「パリ&近郊民族の大移動」の勢いといってよいでしょう。

どうして今、「ブルターニュ」なのか

ブルターニュとコートダジュールをもう少し客観的に比較してみましょう。

PAP Vacances社というバカンス分野の企業の調査結果を参考にしますね。
https://www.pap.fr/blog/vacances-ete-2023-les-francais-veulent-avoir-moins-chaud-et-payer-moins-cher/a23818

同社は2023年に受けた約20万8,000件の予約を分析したところ、コートダジュールは前年と比べるとマイナス21%、一方のブルターニュ(旧ブルターニュ地域圏だったロワール・アトランティック県を含む)はプラス13.6%の申し込みがあったことがわかりました。

この理由として、同社は気温と物価の高さを挙げています。

コートダジュールの夏の平均気温は27~30℃です。酷暑に苛まされている日本の方からみると過ごしやすいように思われるかもしれませんが、クーラーがない家も多いので逃げ場がありません。また平均気温はあくまでも平均。例えば昨年の夏は酷暑(caniculeカニキュル) の波が訪れ、最高気温として34℃の日も幾日か記録しています。

対するブルターニュはこれより18~26℃です。カニキュルも訪れますが、それでも朝夕は涼しいですし、基本的に南よりはひんやりした気候です

また週あたりの平均物価は コートダジュールは約1,400 ユーロですが、ブルターニュはそれより40%ほど低くなっています。

コートダジュールの魅力は、青い海としのぎやすい気候だったけれど、近年の温暖化で熱波に襲われる傾向が強まっている、それでも「コートダジュール・ブランド」に憧れるセレブや海外勢が押し掛けるので物価はますます上昇し、激混み……。

また、近年のフランスの経済環境ですが、インフレーションもあって暮らしは楽ではありません。バカンス大好きなフランス人ですが、予算は限られています。

そんな状況の中、フランス人のこころは、「涼しい、手が届く価格、空いている」ブルターニュに流れている、というのが同社の分析です。

フランス人のように夏を過ごす

このブログを読まれて、
「よし、フランス人になり切って、夏をブルターニュで過ごしてみよう!」
と思われた方に一つだけ忠告があります。

それは、ブルターニュの海のことです。

ブルターニュは風もあるのでマリーンスポーツのメッカでもあります

ブルターニュは、大西洋やドーバー海峡に面しているので、地中海や太平洋と違い、海水の温度が低く、なんと夏でも20~23℃!
わたしも数えきれないほど訪れているというのに、海に身体を浸したことは一度だけ。はい、5分で唇が紫になりました。フランス人たちは泳いでいますので、人ぞれぞれかとは思いますが、ご留意あれ。

ちなみに、この夏のブルターニュ地方は悪天候が続いているようです。一方のコートダジュールは平年通りの理想的な気候となる見込みとのこと。去年の暑さを受けて今年はブルターニュが大勝しましたが、来年はまたコートダジュールが少し巻き返すかもしれませんね。

沸騰化の中の冷夏

そうなのです、 温暖化、いや沸騰化と騒がれているのに、フランスはなんと冷夏となっています。雨も多く、農業大国でもあるフランスとしては作物への影響も気になりはじめました。

毎日のように流れてくる日本の酷暑のニュースを、秋物のカーディガンを羽織りつつ見ているこの頃。フランスと日本の気温を足して2で割れたらいいのに! と、恨めしく思っています。

日本にいらっしゃる皆様は、この先もどうか暑さから身を守りながら過ごしてくださいね。

フランスにいる皆様、曇り空にマケズに頑張りましょう!

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