自由になれる場所

パリ塾
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時々訪れたくなるパリがあります。
景観美しいアンヴァリッド界隈?
それとも、やはりパリといえばエッフェル塔ですから、トロカデロ広場付近?
いえいえ、わたしのお気に入りは13区。

わたしがパリを離れ、ベルサイユに移り住んだのは8年前のことです。それまでは16区に住み、パリ・ライフを楽しんでいました。いや、楽しんでいるつもりでした。
それが夫の仕事がため、2年ほどフランスを離れ、再び戻る、となったときに、もうパリには住みたくない、と思っている自分を知ったのです。(パリに住んでいる方、もしくはパリに憧れている方には感じ悪いですよね、ごめんなさい。これは個人的な事情や好みがゆえのことですので、どうか気を悪くしないでくださいね。)
理由は本当に色々あるのですが、一つには、パリの、各アロンディスモン arrondissement のキャラクターの強さに疲れてしまった、というところがあります。パリは小さい街なのに、右岸・左岸、東西、南北で、貧富の差、エスニックの差、文化度の差、そして政治傾向の差などが実に顕著で、そういうところに、何事もどっちつかずのわたしは馴染めなかったのですよ。

そんなわたしが自由になれるアロンディスモンが13区なのです。

13区のどこが好きか。それは、ほかにはない、多様なプロファイルがあるアロンディスモンだから、なのだと思います。

どんなプロファイルかというと、まず筆頭に来るのはアジアンなプロファイル。そうですよ、13区といえば、元祖アジアン地区。ショワジー通りavenue de Choisyを下ると、美味しそうなベトナムのフォーやカンボジア料理のレストランが並んでいて、どれも試したくなります。アジアンの食材が豊富なスーパー、タン・フレール Tang Frères には、レンコンや豆腐類、そして日本の調味料なども置いてあって、跳び上がってしまうほどにありがたく。(でも重い!)

プロファイル其の2は、現代アートでしょうか。ストリートアートで有名なビュット・オ・カイユ地区 Butte aux Cailles には、「これ、壁の落書きと呼ぶには素晴らしいすぎない?」という域の壁絵が連なり、そのパワーに刺激を受けます。(筆頭の写真は、この地区の中でも、壁絵で有名なバロー通り rue Barrault で見かけたアートです。愉しげでいいと思いませんか?)

プロファイル其の3としては、ビュット・オ・カイユ地区の少し先、ダヴィエル通りrue Daviel でしょうか。坂道沿いに木組み à colombages の家々が並ぶ、それはそれは愛らしい住宅街があります。白雪姫の七人の子人が出てきそうな雰囲気です。こちらは、「小さなアルザス La Petite Alsace」と呼ばれています。パリにて一戸建ての家があるなんて、それもこんなに便利な場所に、それでいて「金持ち然」としていなくて(実際には恐ろしく高額な不動産だと思いますが)なんて素敵なのでしょう。

またパリに住むとしたら今度は13区を狙おうかな、それとも憧れのサンジェルマン・デプレ? いや、夢は大きくロダン美術館の近くのあのカルティエ……と、そんなことを考えることがあります。どうやらわたし、実のところは、結構なパリ好きみたいですね!

by ドメストル 美紀

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