日本とフランスの装いの違い

パリ暮らし

by ドメストル美紀

11月の前半は、3年ぶりに日本に帰省していました。90年代終わりに海外へ出てしまったわたし。それ以来日本に帰る度に、新しいビルが建っていたり、新しい駅が出来ていたり、新しい商品が出来ていたり と、 その変化のスピードに驚いていました。 変化を固辞しているところがあるフランスと比べると、日本の1年はフランスの5年分くらいの変化している、という印象があります。今回は特にそれを感じました。コロナ禍を経て、の約3年分の変化……感じることが多かったのですよ。

何が変わったかというと、「人」。

一つには、高齢化が際立ってきている点。電車の中も、街の中でも、高齢者の姿が多くて、驚きました。まあ、若者の街にあまり行かなかったというのも、理由の一つなのかもしれませんが。

もう一つには、装い。今の日本は、韓国のファッションを参考にしているらしいですね。わたしが日本に住んでいた頃は、ファッションといえば、欧米に目が向いていたもの。なので日本に帰ってきても、装いのトレンドに余り違いを感じなかったのですが、今回は、へえ!と思ったのでした。

日本では、ロング丈のスカートが流行なのですね。それに大きめのトップをぶかっと着て、足元はフラットシューズ。それに薄手のロングコートを羽織る、というスタイルをよく見かけました。オーバーサイズ感があって、コンフォータブルな感じで、身体の線は隠されていて。一方お化粧とヘアスタイルの方は、これは昔から同様に完璧に作り込まれていて、お顔などは、発光しているがごとく白く美しく。髪も、ほつれ毛すらも計算済みなのでしょう、きれいにカールしていたり、ぴしっと真っ直ぐだったり。なのでオーバーサイズな装いでもだらしない印象はありません。

これはフランスでは見かけないスタイルなので、ほほう、と思った次第で。

ではフランスの装いとどう違うかというと、上手く説明できないのですが、センシュアルという言葉がフィットするのかな。テレワークのフェーズを経て、装いもカジュアル化が進みましたが、それでも、相変わらずセンシュアル。—色っぽいでもなく、もちろん「萌え」でもなく、センシュアル。女ならでは艶っぽさ、知性、遊び心があって、生身の女を感じさせるような……。

例えば、シャツを着るなら第二ボタンまで開けて鎖骨を見せる。スカートやパンツなどのボトムスは身体の線を感じさせるスタイルのものを纏う。ボディコンシャスとまでは行かないけれど、トップスがピタッとしているか、もしくはボトムスにスリムなものを持ってくる。特に腰の辺りがピタッとしたスタイルを好まれているような気がします。これは痩せている、太っている、関係なし。冬でも室内であれば腕を見せますし、歩きにくくてもヒール靴も履きます。また、化粧やヘアスタイルも、フランスでは作り過ぎることなくナチュラル。 (日本人と器用さが違うという噂もあるけれど!)

どうして韓国や日本は身体の線をすっぽり隠すスタイルが流行となり、フランスは変わらずに女性らしさを意識したスタイルなのか、思わず考えてしまいます。そして考え出すとついつい深読みするのがわたしの悪い癖。

韓国や日本の共通点といえば、未だに女性に対して保守的なお国柄。日本では痴漢は相変わらず日常茶飯事です。少しでも女っぽさを見せると、揶揄されるか、嫌らしい視線を浴びる。もしかしたら日本の女性はそういうことにうんざりして、「だったら、身体を一切見せないもん!」と決め込んだのか。そういえば、日本の女性の水着も、昔はハイレグだの、ビキニだの、肌を露出したスタイルが人気でしたが、この十数年はラッシュガードなどで身体を隠すデザインが主流ですよね。フランスですか? 相変わらず夏は老いも若きもビキニが主流ですよ。

装いは社会を反映すると言います。日本では何が起きたのでしょうか。それとも、何も起こらなかったがゆえの変化なのか。フランスは、この先どう変わるのか。

目が離せません。

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