byドメストル美紀
今週の日曜日は復活祭。そろそろ別れ際に、”Joyeuses Pâques! ジョワイユーズ・パック” という挨拶を交わす時期になりました。
「パックって何?」と思われた方もいらっしゃるかな?
20何年前のわたしもそんな一人でした。
Pâques とは復活祭のことです。英語でいうイースターですね。
「ふーん、でさ、復活祭ってなんだっけ?」という方もいらっしゃるでしょう。
そこも、昔のわたしと同じです。復活祭って、あまり馴染がないですよね……。
復活祭Pâquesを知ろう
この見出しに「別にキリスト教徒でもないですから結構です」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、ですね、フランスは宗教離れが急速化してますが、それでもやっぱりキリスト教国なんですよ。なので、キリスト教の基本のキにあたる復活祭は抑えておいた方が良いと思うのです。
フランスがキリスト教国だ、という由縁
(統計データはIfop社2019年調査より)
・5世紀のクローヴィス一世が出発点
・1980年の統計では70%がカトリック教を信仰していた
・« la fille aînée de l’Église »と呼ばれる
・51%が信仰を持たないとする現代でも32%はカトリック教を信仰している
(信仰を持つ人の過半数はカトリック教)
……ということで「復活祭とは何ぞや」、という質問に戻ります。
こういう時は、安直にウィキペディアに頼らせてください。ときには信頼できないソースですが、こんな「大きなお題」の場合は、まあ大丈夫でしょう。
「復活祭は、磔刑にされて死んだイエス・キリストが三日目に復活したことを記念・記憶する、キリスト教においては最も重要とされる祭」
ウィキペディア「復活祭」
なぜノエルよりも重要視されているのか
「なあんだ、わたしもそのくらいのことは知ってますよぉ」
という声が聞こえますが、本当ですか?
最後の部分の「キリスト教においては最も重要とされる祭」ということもご存じでしたか?
わたしは、長いこと知りませんでした。
なぜノエルよりも重要視されているのか。
ノエルは、イエス様が生まれた日ですよね。誕生日は万人にとって大切な日。それがイエス様の誕生日ですから、盛大に祝う気持ちはわかります。
そのノエルよりも、復活の日が大切と考えられている。2度目の誕生日のようなものだから? いやそれ以前に、人は、現世にて再度生命が与えられることはありませんから、奇跡的なことで、だから?
この辺については、わたしごときには説明できない神秘の話なので、関心がある方は調べてみてください。
わたしのお勧めは、メル・ギブソン監督の『パッション』という映画。パッションとはイエス様の受難のことです。これを観て、少しだけですが理解が深まりました。
ところで、復活祭、フランス語ではPâqueではなくて、Pâquesと「s」が付きますので気を付けくださいね。
なぜPâquesは複数形plurielか
クリスマス Noël は単数形なのに、パックはなぜ複数形pluriel なの?と思われたアナタ、鋭いです!
なぜかというと、キリスト教のPâquesは、イエス様の受難と磔の刑と復活という3つの出来事を記念する日だから。ちなみにユダヤ教の「過越の祝い(英語ではPassover」は、フランス語ではPâque と単数形です。
え? ユダヤ教? そこまで知らなくちゃいけないの?と動揺されませぬよう。
キリスト教は、 広がりと深みのあり、文化・哲学・歴史としても興味深いのですが、この辺りで実際的なところへ話を戻します。
まず、復活祭はいつなの?というところから。
復活祭は移動祝日
復活祭の日付は毎年微妙に異なります。春分の日(3月21日)後の満月夜あとの初めての日曜日がイースターと決められているからです。今年は少し遅めで、4月9日というわけです。
個人的には、この移動祝日というところも、復活祭が余り周知されていない理由の一つではないか、と思っています。ノエルのように12月25日と決まっていれば、復活祭グッズ(チョコや卵、ひよこにウサギ、羊さんとたくさんあります)の商戦も対応しやすく、よって日本のような非キリスト教国でも広がったのではないかしら。
復活祭の過ごし方
時系列に沿って行きましょう。
まず実は、復活祭から一か月半前より、カレムCarême 四旬節に入っていて、キリスト教徒では節食している人もいます。
その最終日が
Vendredi Saint 聖金曜日。イエス様が十字架に磔にされた金曜日に思いを馳せる日です。
この日はBrandade de morue(干し鱈のグラタン)を頂く、というのがフランスの伝統です。どんな料理かというと、塩漬けされた干し鱈を2日ほど水につけて塩抜きし、マッシュポテトと一緒に調理したシンプルな料理。デザートはなし。
敬虔な信者はこの日断食することも。
土曜日は静かに過ごす、もしくは深夜ミサのため教会へ向かう人も。
Dimanche de Pâques 聖日曜日。
復活祭の日です。
普段教会に行かない人たちでもノエルと同様、聖日曜日の朝はミサを与ります。
ミサのあとは、午餐会。ノエル同様、家族で祝います。
Pâquesのごちそうは、Gigotジゴー(仔羊のもも肉)のロースト。キリスト教では、人間の罪に対する贖いとしてイエスが生贄の役割を担ったとし、イエスのことを「神の子羊」と呼びます。そのことに対するオマージュを込めて、ジゴーをいただくのです。
付け合せは新じゃが(Ratteという品種)をたっぷりのバターでソテーしたもの。
デザートには、フランス産のガリゲットという小粒のイチゴに、フレッシュで濃厚な生クリームをたっぷりかけたものです。
この後、子供たちは庭でエッグ・ハンティングに勤しみます。大人たちは、高級ショコラティエの卵型チョコとともにコーヒーを楽しむ。これが典型的なフランスのイースターの過ごし方、となります。
次はバカンス?
気が早いと言われそうですが、バカンスに関しては気が早いのがフランス人。
復活祭の後、学校の春休みがあり、5月に突入しますでしょ? 5月は、祝日が少ないフランスですが、5月には祝日が集中していて毎回飛び石連休状態になるのです。
5月は太陽は燦燦と輝きだしますし、学校も早々と学年末体制に入ってだらけますし、もういっそのことバカンスにしちゃえば?みたいな気運が高まるのです。そうこうしているうちに6月に入って……。
いけないいけない、書いているうちにそういう気分になってしまった。
はい、だらけずに働きます!
Joyeuses Pâques!