寒い冬がやってくると食べたくなるお料理、ポトフ。
日本語でもすっかり定着しているこの名前は、もともとは pot-au-feu というフランス語です。
直訳すると「火にかけた壺、鍋」という意味です。
時間をかけて肉と野菜をことこと煮込む、このお料理そのままの名前ですね。
できあがるまで2日がかりですが、つくりかたはとても簡単です。
まず、肉を用意しましょう。
フランスでポトフに入れる肉といえば、牛肉です。
煮込みに向いている部位は、gîte(すね肉)、queue(しっぽ)、paleron(前脚)、macreuse(前脚)、joue(ほほ肉)などがあります。
このうち、ほほ肉だけは boucherie(肉屋)では買えないので、triperie(臓物屋)へ行きましょう。
部位によって味が異なり、数種類買ってきて煮込むと楽しみが広がります。
分量はお好みですが、多すぎるくらいがおすすめです。
というのも、多めに煮ておくと、残ったお肉は後日、サラダやグラタン、テリーヌなどなど、ほかのお料理に変身させることができるからです。
肉とたっぷりの水を鍋に入れ、火にかけます。
ブーケガルニの材料が常に家にある人はそれを、なければネギの緑色の固い部分、ニンジンの皮、セロリの葉、パセリの茎など普段捨ててしまう部分を入れれば十分です。
家庭料理なので、気楽につくりましょう。
沸騰してあくが浮いてきたら、すくって捨てます。
2時間くらいことこと煮たら、1日目はここで終わり。そのままひと晩置きます。
部屋が暖房で温かいときは、冷蔵庫に入れましょう。
2日目、液体の表面に白く固まっている肉の脂分を捨てます。
肉をいったん取り出し、キッチンペーパーを敷いたザルでスープを濾します。
鍋が脂でべたべたしているので洗いましょう。
ひと手間ですが、こうするとスープがきれいに仕上がります。
肉とスープを鍋に戻し、今度は野菜を入れて煮ます。
野菜の種類と量はお好みで。
ネギ(poireau)、カブ(navet)(黄色いカブは boule d’orという名前で呼ばれています)、ニンジン(carotte)、トピナンブール(topinambour)、タマネギ(oignon)、セロリ(céleri)などなど、いろいろ混ぜるとおいしくなります。
固くて煮えにくいものから鍋に入れていき、ニンジンが煮えた頃合いで塩を入れ、またことこと煮込みます(じゃがいもを入れるとスープが濁るので、入れる場合は別の鍋で茹でてから最後に加えましょう)。
2時間くらい煮たらそのまま冷めるまで置いておき、食べる前にまた30分くらい火にかけます。
フランスでは、スープの皿、肉と野菜の皿と別々に取り分けてそれぞれを味わうものだそうです。
シンプルな味付けなので、マスタードなどを用意して味に変化をつけるのもいいでしょう。
時間はかかりますが、かけた分だけおいしくなる冬のお料理、楽しんでみてはいかがでしょう。
