コロナにかからないスーパー・サンタ

フランス今週の時事コラム

日本でもこのニュースは流れたのであろうか?

世界保健機関 (WHO) のメンバーが「お年寄りなので心配だろうけど、サンタさんはコロナウィルスに対して免疫があるので大丈夫!」と、子どもたちに向けたメッセージを伝えたという。

しかも「サンタ婦人も元気!と、聞いたこともない「婦人」まで登場させ…。あまりに突拍子もない内容に、これまでサンタの家庭事情に一瞬たりとも興味を抱いたことなどなかったことに気づかされる。

フランスの Libourne サンタの事務局がある町。毎年全世界からサンタへの手紙が送られてくる。小人たちは、今年はマスク姿で一枚一枚に返信する。この時期のフランス定番ニュース。

サンタクロースを否定しているわけではない。皆が楽しく過ごせるイベントであるならば大いに結構なこと。日本でもサンタさんの風習は今やしっかりと根付いているし、それを邪魔するつもりも全くない(中学生の頃、うちの子はまだサンタさん信じているからシッ!と叔母に口止めされた時にも口は割らなかった)

フランスのテレビでも毎年この時期にはサンタクロースやプレゼントの話題はお決まり。子どもの夢を破らないよう、ニュースのアナウンサーなども心得た口調でサンタが存在しているかのように話す。滑稽には思えても、特に気にはならない。フランスはクリスマス&サンタクロース神話の「圏内」であると認識しているからであろう。

しかし、国際機関からの発信となると事情が違うのでは。サンタクロースの風習がどこまで世界的に浸透しているかは正直知らないけれど、文化・風習の異なる国々を集めた機構の一責任者(この場合アメリカの Maria Van Kerkhove 氏)が 西洋中心主義的 (occidentalocentriste) な発言をさらっと言えることに脱力感さえ感じる。悪気がないのは明らかなだけに…

東北の行政機関ではなく、国連の日本人代表者が「子どもたちに朗報、今年の『なまはげ』は病気なので良い子の家には来ないよー」と世界的に発信したとしたら?(例は極端だけど、なまはげは一応ユネスコ無形文化遺産だそう)

こんな「当たり障りのない」ニュースにつっこんでいる自分にも苦笑いではあるけれど…

by ambi

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