フランス、散々な宅配事情

フランス今週の時事コラム

コロナ禍を受け、フランスでも昨年はオンラインで買い物をする人の割合が急上昇したという。統計によれば、2020年の個人宛て宅配小包数は10億個、前年比2割増しである。が、この国には乗り越え不可能と思われる問題がある。それは宅配サービス。注文はワンクリックでできるものの、商品がちゃんと届くとは限らない。

これでも、ネット環境とEコマースの発展により、ひと頃に比べれば格段に向上した宅配事情。それでも新聞の記事になるほど、フランスの配達システムはずさんで、国民の大きなストレス源となっているという。実際、日本で暮らしたことのある者にとっては到底理解の出来ない事態が当たり前のように頻発するのである。

まずは、業者を選べない、配達日や時間指定ができない、配送料が高いなどの注文時の不便さがある。さらに、配達においては、指定日に来ない(当然連絡なし)、在宅だったのに不在票、そもそも不在票さえ置いていかない、受け取り指定した取次店(point relai)を勝手に変えられる、忘れた頃にひょっこり届く、集合住宅の部屋まで上がってくれない、配達車まで/地階まで取りに来いと言われる、20㎞離れた倉庫に取りに来いと言われる、隣人に勝手に預ける(報告なし)、扱いが雑、荷物の紛失、問い合わせ先が不明、電話がつながらない、たらい回し、注文先と配達業者との責任のなすりつけ合い、、、

このようなことは日常茶飯事。同新聞記事によれば、フランスを代表する消費者情報誌「60 millions de consommateurs (6000万人の消費者)」のウェブ・フォーラムへの投稿件数トップは宅配トラブルに関するトピックだという。

それでも、経験上 マシ な宅配は:

  • 郵便局(La Poste)。フランスの郵便局はコード番号で保護された建物にもアクセスできるため、建物コードが分からずに届かないということはない。また、郵便局サイトの追跡システムに頼れる部分が大きい。フランスでは小包配達の2/3を郵便局グループが請け負っているという(ただし、同グループのうち、DPDは効率悪く、悪名高きChronopostは最近努力してサービス向上してきた)。
  • ネットスーパー。競合した市場だけに、即日または翌日配達が一般化している。配達時間も30分単位で可能な場合有り。間近の配達を携帯に知らせてくれる。基本的にカスタマーサービスの対応も良い。
  • アマゾン・フランス。宅配業者を増やし始めたころは恐ろしくトラブル続きであったものの、近年は落ち着いてきた。問題発生時にカスタマーサービスのトラブル処理に頼れるというメリットがある。

そして、深みにはまらないコツは、行方不明の商品小包を探すことは即あきらめること。交換や再配送を頼まずに払い戻しを要求し、必要なら新規に注文する。また、商品の取次店(Point relai)の場合、引き取られなかった商品は自動的に返品&払い戻しとなるケースがほとんどなので、受け取りが不便な場合は放っておく。

いずれにしても、まともに届くほうが奇跡的なのだと、悟って構えていた方が精神衛生上楽なことだけは確かだと言える。

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