マクロン大統領も“してやられた” Je me suis fait avoir… ramassé !

フランス語のことわざ・慣用句

今週、フランスでは大人のコロナワクチン接種人口が5割を超えたそうな。先々週あたりから接種のスピードはどんどん加速し、バカンス前に2回の接種を終わらせたいというフランス国民の意欲がめらめらと感じられる。

そんな波に乗るかのように、今週マクロン大統領は仏南部のロット県にあるワクチン接種会場を視察。若いマクロン(43歳 )は50歳未満の接種解禁を待って5/31にワクチンを接種済み。責務を果たしてすっきりしたのか、いつにも増して上機嫌でTVカメラの前で接種に来た地元の人たちと談笑。やり取りの最中で放ったミニ爆弾発言がこれ:

Je me suis fait avoir à Bruxelles, je ne pensais pas que ça pouvait arriver … Ramassé !  
私はブリュッセルでまんまとやられたよ、まさか自分の身に起きるとは思っていなかった … しくじった!

[ツイートの動画参照(仏語テロップ付き)]

対話相手の男性が「家族全員コロナ感染しなかった、 十分に気をつけていたので 」と言ったこと対するセリフ。マクロン大統領は昨年12月、ブリュッセルで行われた欧州理事会に出席後にコロナ感染している。その際、他国の参加メンバーからコロナを移されたと示唆しているのである(もちろん証拠はないが)。

というわけで、本日のフランス語はフランス人が頻繁に使う口語表現:

se faire avoir 
意味:してやられた、まんまと罠にかかってしまった、すきを突かれた、騙された…

文法的には、使役用法のfaireの代名動詞 se faire + 動詞原型 (不定詞) (~してもらう、される)。原型の avoir 動詞はここでは獲得する仕留める騙すというニュアンスJe l’ai eu(e) 騙してやった , ils m’ont eu(e) 奴らに騙された)。すなわち se faire avoir  = なすがままに仕留められてしまう という、口語にしては入り組んだロジックの表現。

さらに上級編:

上級その①

Je me suis fait avoir, tu t’es fait avoir(一杯食わされたよ、君は騙されたね)をフランス人はしょっちゅう Je me suis fait eu, tu t’es fait eu と言う。動詞の原型の代わりに過去分詞 eu を使ってしまっている。これは、文法的には間違い、でも、口語では蔓延しているのでOK という認識で大丈夫。ただし、外国人ならば、正しく原型の avoir を使ったほうが「外国人だから間違えている」と誤解されずに済む。

上級その②

se faire avoir と同じ意で、avoir の代わりに別の動詞が登場することがよくある。この表現自体が「くやしい、屈辱的な状況」を言い表しているため、必然的にフランス人が使う動詞のバリエーションも広がる。書ける範囲で、一例として se faire empapaouter などがあるが、この動詞も「騙す」という意味の他に口語では裏の意味も持つ。フランス慣れした者なら察しがつくと思うので敢えて羅列しないが、こちらもネイティブを真似せずに、avoir を使っておけばギョッとされないだろう。

おまけ-マクロン大統領が最後に付け加えたことば:

ramassé !
転ぶ、つまずく、失敗するを意味する se ramasser から派生した過去分詞と考えて良い。ヘマしたな~、しくじったな~、やられたな~、油断したな~、あ~あ、という意味合いで付け加えたとみられる。 こちらも口語的表現。

by ambi(パリあんび)

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