フランス人とマスク Qui l’eût cru ?

フランス今週の時事コラム

本日より小中高の校内で「お手製マスク」の使用が禁止される。ウィルスをカットする性能が既製品よりも劣っているからだという。ついでながら、どのニュースチャンネルかは覚えていないが、この情報を伝えるアナウンサーがパパ♂またはママ♀が縫ったマスクはダメです!」と言ったのが印象深い。「裁縫=母親」のステレオタイプを壊そうとする小さな試みが感じられて、ふっと微笑ましかった。

話を戻し、そう、マスク。ああ、マスク。今や世界中で必須のアイテムとなってはいるが、フランス人がマスクを着けて道を闊歩する日が来るなんて誰が想像したであろう?(qui l’eût cru ?)

1年近く前、怪しいウィルスが流行中と聞いても、マスクはおろか手洗いさえ思いつかなかったような国民が、今ではマスクの ろ過性能 にまで気を回しているのである!当初のバグ(マスクをした人に対する白い目や、政府の「マスクは無用!」声明など)を乗り越えて、大きな抵抗も示さずにマスクを日常生活に取り入れたことは感服に値すると言っていい。

罰金135ユーロの脅し効果も手伝ってか、少なくともパリではほぼ100%の着用率で、これだけでも見上げたもんだと思っているところへ今回の政府の茶々入れ

ん?英国変異種に対応するため??うーん、理由はさておき、せっかくみんなが文句も言わずにルールを守っているのに「まだまだ!」と言われてるみたいで何かひっかかる。

そう、自分なりに頑張って90点とって内心喜んでいるところに親が出てきて「なぜ100点取れない?!」とダメ出しされる、あのパターン?

しかも大いに説得性に欠ける。確かに古シーツの布切れよりも既製品の不織布のほうが計算上は優秀かもしれないけど、ほら、水色のサージカルマスクだってぴったり着用している人は少なく、上下左右に隙間だらけ。数ミクロンの織り目よりもこっちのほうが問題では?

実際、フランスではマスクのサイズバリエーションは少ない。経験談だが、少し前に病院に行く機会があり、貴重な日本製マスク[女性・子どもサイズ]をしてでかけた。到着すると「はい、では検査するのでマスク変えてください」と病院のマスクを差し出され、まだ1時間も着けていない高性能日本製マスクはあっさりと捨てられた!顔にフィットしてたのに!もらったマスクはもちろんブカブカ、縦も横も隙間だらけ。それでも満足気な看護師の笑みが恨めしかった…

つまり、今でも子ども用マスクを手に入れるのが容易ではないのに、お父さんお母さんがサイズを考えて作った自家製マスクを禁止して、子どもの顔にはガバガバの既製品マスクを着用させることにどれほどの意味があるというのか?しかも、数少ない親子交流の手段であったかもしれないのに…

それよりも、どんなマスクでも隙間のないように着けるよう指導したほうがよっぽど変異種も防げると思うが。

これじゃ、国民の士気と変異種対策、ダブルで負ちゃうのでは~

by ambi (パリあんび)

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