ルイ14世とローマのプライド Polémique autour des chiffres romains

フランス今週の時事コラム

パリや周辺の県で3度目のロックダウン!?!アストラゼネカ・ワクチンの安全性は!?!←この2つの大きな話題の影に隠れた形で、実は今週、ヨーロッパならではの小論争が一つあった。

カルナヴァレ博物館(Musée Carnavalet)をご存知だろうか。パリのマレ地区に位置し、パリの歴史を語る資料を展示する密かに人気の博物館だ。4年続いた改装工事も終わりかけ、開館が待たれている小規模の施設。この博物館が作品の展示方法を変更するという話題をイタリアメディアが入手した結果、イタリア各紙よりいきなり激しい横槍が入った。

問題はルイ14世(Louis XIV)。そう、太陽王 Le Roi-Soleilとのあだ名で知られるブルボン朝のフランス国王。フランス語では一般に「14世」の部分は「XIV」とローマ数字で書かれるが、複数のイタリア紙がこの王の名前を例に取り「パリのカルナヴァレ博物館は今後ローマ数字[ XIV アラビア数字[14]に置き換える方針だ、けしからん!」と猛反発。

フランス語に慣れ親しむと気づくが、国王/法王の名に続く番号世紀の表記(例 : XIX e siècle = 19 世紀)は必ずローマ数字で、確かに「Louis 14」 では違和感というか間の抜けた感はある。しかし、ローマ数字の発祥地イタリアからすると、同じラテン民族でありラテン言語を操るフランスが、王や法王の番号表記をアラビア数字に変えることは違和感どころのレベルではないのであろう。権威ある歴史家などが「文化危機」と形容するなど、まるで裏切られたかのような憤慨ぶりで正直おどろいた。

フランスメディア側はイタリアメディアの激昂を横流しに伝えるのみ。情けないことに、当初は深く調べもせず、あたかもカルナヴァレ博物館がローマ数字を全面廃止するような内容をそのまま報道した。

耐えかねたのであろう、カルナヴァレ博物館はツイートで弁明。

展示物のプレートは全部ローマ数字表記のまま。変えるのは新たに導入される3000の記述のうち170のみ。これは、障害者を含めた見学者全員に展示物へのアクセスを容易にするプログラムの一環で点字表記とともに採用される試み。

これを受け、ジャーナリストの務めを真面目に果たさなかったフランスメディアも当初の記事を修正。実際、世界中からの来館者に対応するためにローマ数字表記をアラビア数字に置き換える傾向はすでに数年前からルーブル美術館大英博物館などで始まっているという(世紀の表記のみ)。

いずれにしても、この一件でイタリアのプライドを垣間見ることができて興味深かったし、歴史の重みというものを実感した。あとはフランスメディア… こんなマイナーな話題どころではない時期であったのは分かるが、自国の情報くらい記事にする前に電話一本かけてちゃんと調べてくれ~。

(個人的には、Louis 14 の数字よりも、イタリア紙の Luigi XIV の「ルイージ」のほうに異国情緒を感じてしまった…)

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by ambi(パリあんび)

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